自己完結できるから、ストレスなし

そんななか登場したのがスマホで遊べる、パズドラだ。

スクリーン上のパズルを移動するという操作性の新鮮さ、さらに自らのポイントなどでモンスターを育成するRPGの要素も盛り込んでゲーム性を高めた。

それまでのソーシャルゲームとの大きな違いは、課金をしなくとも十分に楽しめることだった。もちろん課金をすれば、より楽しめるが、課金の代わりに時間をかければ同じよう楽しめる。また、パズルを組み立てる技術やコツが基本ゆえ、課金だけでは必ずしも強い敵は倒せない。

さらに、個人的には、プレーヤー一人でゲームが完結できる点も人気の要因だと思っている。

それまでのソーシャルゲームは、他のプレーヤーと競ったり、チームを組んで敵や他のチームと戦う団体戦のイベントが多かった。ネット上で戦友をつくり、コメントをやりとりしながら一緒に戦う団体戦は楽しい半面、時間に縛られたり、大事なバトルで1人だけ抜けにくかったりするなど、ソーシャルゲームならではのしがらみが億劫になる部分もある。

この「他人と競う」という要素が、人を課金へと駆り立てる。課金をして「俺、強えええ!」という優越感が忘れられず、「廃課金」と呼ばれる課金地獄にハマる人を何人も見てきた。しかし、パズドラは課金もできるがあくまで人を気にせず自分のペースで遊べる。このことが思いのほか、心地よい。誰にも邪魔されずゲームを純粋に楽しめるポイントになっている。

というわけで、みんな電車内で「くるくる」するわけだ。不快極まりない満員電車内でも、しがらみなく、自分だけの世界に浸ってゲームに没頭できる。それはささやかだけれど、シアワセの時間にほかならない。