セブン&アイ・ホールディングスの中核、セブン-イレブン・ジャパンの一人勝ちが続く。消費税増税後、コンビニ各社が既存店売上高で前年割れを続けるなか、25カ月連続プラスだ(今年8月現在)。1号店開業から40年。強さの根源を探る。
セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEO 鈴木 敏文氏

【田原】セブン-イレブンの1店舗あたりの平均日販は66万4000円と、ローソンやファミリーマートより12万円以上も高い。しかも、その差がずっと続いています。ご自身では、要因は何だと思われますか。

【鈴木】一つには、出発点の違いにあるかもしれません。話は40年以上前になりますが、アメリカ出張の際、移動中に休憩で小さな店に立ち寄ったのが、私とセブン-イレブンとの出合いでした。後で調べると、全米で4000店を展開する超優良企業とわかった。日本でも活かせるのではないかと思い、難交渉の末、経営マニュアルを入手したものの、レジの打ち方とか初歩的な内容ばかりでした。結局、マニュアルは役に立たず、自力でゼロからつくりあげるしかなかった。以来、新しいものを自分たちで生み出し続けた。その積み重ねが日販の差に表れているのではないでしょうか。

【田原】その出発点の話を伺います。セブン-イレブンを日本で始めるにあたり、本体のイトーヨーカ堂の幹部たちはみんな反対したそうですね。何で反対したんですか。

【鈴木】当時は、「大きいことはいいことだ」の時代です。業界関係者や学者からも、「スーパーマーケットの進出で、商店街が衰退しているのに、小型店が成り立つはずがない」と反対論が噴出しました。実際、私はヨーカ堂の役員として、大型店の出店交渉を担当しましたが、新規出店のたびに地元商店街から強い拒否反応を受けるようになっていました。

【田原】そういう状況であれば、ぼくだって否定論を唱えたかもしれない。でも、鈴木さんは、反対を押し切って、やろうと思った。

【鈴木】私は主に管理部門を担当していたので、小型店の衰退を別の視点で見ていました。夕方6時には閉店するなど、時代の変化にまったく対応できていなかった。もし、市場のニーズに応える店をつくり、価値ある商品を提供し、生産性を高める仕組みを取り入れれば、大型店との共存共栄が可能なはずだと考えた。一方、反対論は高度成長期の経験にとらわれた「大は小に勝つ」の規模の大小論ばかりで、私の主張に対して、明確な反論はなかった。ならば、挑戦する価値があると考えました。

【田原】ところが、アメリカのセブン-イレブンの経営マニュアルを見たら、たいした中身がなかったと。

【鈴木】呆然としましたね。そのことに気づいたのは、創業のための新会社を設立し、社員と一緒にアメリカで研修を受けている最中です。社員たちには、「マニュアルは日本では通用しない」とはいえない。悶々とした日々が続きました。でも、さんざん反対されたのを押し切ってやるといった以上、引くに引けない。これは何とかしなければいけないと。