脳を活性化させる「ブドウ糖」を常に補給する!
どうして朝食を食べたほうが成績は良くなるのか。鍵を握るのは、脳のエネルギー源となるブドウ糖だ。香川先生は次のように解説する。
「わたしたちの体をつくる筋肉や臓器の細胞は、炭水化物やタンパク質、脂肪などをエネルギーとして使います。しかし脳は、ブドウ糖(グルコース)しかエネルギーとして使うことができません。逆にいうと、脳に必要なブドウ糖が供給され続ければ、脳は活性化して集中力や作業能率、学習能力が高まるわけです。
ところが、食事から供給されるブドウ糖は約4時間で底をつきます。ブドウ糖が不足すると、肝臓にグリコーゲンとして貯蔵されている予備のブドウ糖で次の食事までの間をつなぎます。ただ、肝臓は、せいぜい半日分(約60グラム相当)のグリコーゲンしか貯蔵できません。そのため最後の食事が前夜の夕食という状態で学校に行くと、血糖が低下して、脳の働きが悪くなるのです」
ブドウ糖の不足は、脳の働きを低下させるだけではない。じつは朝食抜きは、子供の情緒面に影響を与えることもわかっている。
肝臓からブドウ糖を取り出すときには、ノルアドレナリンやアドレナリンといったホルモンが分泌される。これらのホルモンは、緊急時に普段以上の力を発揮させる働きを持っていて、分泌されると気分が攻撃的になる。そのため朝食を抜くとイライラしてきて、情緒不安定になりやすい。子供の心の発達のためにも、朝食は必須といえるだろう。
(遠藤素子=撮影 教える人:香川靖雄(女子栄養大学副学長))