大成功には個人技より仕組みが重要
将帥は、発見したチャンスを確実に勝利へと変えなければなりません。そのため、配下の兵士から200%の力を引き出すことが必要です。兵士の必死、全力を引き出すことで、勝利を掴み取ったのです。上司にとって、目の前にいる部下の全力以上の能力を引き出すことは、2500年前からの変わらぬ仕事なのです。
孫子は、リーダーこそが優れたアンテナを広げ続ける必要性を教えてくれます。
自分だけがアンテナとして機能できる限界を超えるためには、組織全体を指揮しながら組織自体をチャンスを探し出すアンテナとすべきなのです。
孫子の発想の軸となっているのは「自分個人に過度に頼らない」ということです。一対一の武力的対決でない限り、将軍個人の武技だけでは勝てません。組織が巨大になれば、君主一人では絶対に全軍の挙動を管理できません。
大きな勝利は、一人の個人を離れた拡大していく指導力から生み出されるものなのです。
大きな勝利を得るためには「自分ひとりへのこだわりを捨てる」べきなのです。君主は自分に頼らないとき、将軍に戦場での臨機応変な判断を任せられます。将軍は個人の指導力ではなく、環境の整備で兵士を効果的に動かせるのです。
共通するのは、大きな勝利には個人技より仕組みが重要だということです。個人の能力で勝とうとする時点で、その範囲は極めて小さいものになってしまいます。組織においてもやはり「大きな勝利の90%は、あなた以外の要素で決まる」のですから。