合格者を増やした本郷、本庄東、広島学院

また、早稲田大は公立校からの合格者が多いのも特徴だ。慶應大がベスト20に3校しかないのに比べ、早稲田大は6校入っている。特に浦和・県立、千葉・県立が入り、1都3県(埼玉、千葉、東京、神奈川)のトップ公立高がすべてランキングに出てくる。大手塾の講師がこう話す。

「慶應大では論文対策が必要で公立校の現役では、そこまで手が回らず、早稲田大志望者が多くなるのでしょう。それと埼玉や千葉から慶應大の1、2年次キャンパスのある神奈川の日吉には通いにくく、4年間同じところに通える早稲田大を選ぶ面もあります」

近年は地元の大学を選ぶ傾向が強まっているが、それは何も地方の受験生が首都圏などの大学に進学しなくなったことだけではない。同じ地域内でも、自宅から無理なく通学できる大学を選ぶようになってきている。

次に今年、早稲田大で躍進した学校を見てみよう。もっとも合格者が増えたのが本郷で、昨年に比べ60人増えて150人だった。次いで本庄東(埼玉)が37人増の58人、広島学院(広島)が30人増の51人、東京都市大付(東京)が29人増の69人などだ。いずれも中高一貫校だ。

本郷は慶應大でも、もっとも合格者が増えた学校だ。中学受験のエキスパートはこう見る。

「今年、卒業した生徒は6年前の中学入試で本郷の人気がアップし、トップの開成との併願校として狙われたこともあって、優秀な生徒が入学していたと考えられ、それで実績が伸びたのでしょう」

早稲田大の合格者が増えた本庄東は、中学を新設して今年は3期生が卒業したばかりの新しい一貫校だ。早稲田大以外にも東京大に3人、京都大に4人合格し、しかも全員が現役だった。昨年は東大に1人しか合格していなかったから学校全体として躍進している。

学部別のランキングトップを見ると、政治経済・法・基幹理工・先進理工の4学部が開成、文化構想と文は女子学院、教育は湘南、商は市川と浅野、創造理工は浅野、社会科学は川越・県立と本郷、人間科学とスポーツ科学は本庄東、国際教養は聖光学院だった。

現役合格者数を見ると、トップは豊島岡女子学園の157人、次いで女子学院の143人で、現役志向が男子より強い女子校2校がベスト2だった。これを見ると、早稲田大でも中高一貫校の強さがはっきり分かる。

(宇佐見利明=撮影)
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