応募条件がユニークなのが、進学情報を提供するマイナビの「マイナビ進学奨学金」だ。対象は、同社経由で志望大学のパンフレットを取り寄せ、そこに進学した学生。指定された3つのテーマから1つを選んで課題作文を提出し、審査の結果優秀と認められれば奨学金が支給される。最優秀賞は50万円、優秀賞は40万円(各1人)、部門賞が15万円(40人)。家計状況や成績などの条件はとくにない。
一部の地方自治体も、各種の給付奨学金事業を行っている。とくに注目したいのは、一定期間地域医療の担い手として勤務することを条件に、数千万円にのぼる私立医大の学費を肩代わりしてくれる奨学金だ。
たとえば、「東京都地域医療奨学金」。順天堂大学医学部、杏林大学医学部、東京慈恵会医科大学の「地域枠入学試験」に合格して入学すれば、入学金と6年間の授業料等の全額(順天堂大の場合2080万円)と、生活費として月額10万円を東京都が貸与。医師国家試験取得後、都が指定する医療分野(周産期医療やへき地医療など)で、都内の医療機関で9年間勤務すると、奨学金の返還が全額免除される。対象は都内在住か、都内の高校に在学する生徒。定員は順天堂大と杏林大が10人ずつ、慈恵医大が5人だ。
新潟県や千葉県、茨城県や静岡県も、同様に私大医学部向けの奨学金制度を設けている。また多くの国立大学には、医学部医学科の地域枠合格者に対し、入学金や授業料を免除したり、毎月の生活費を支給する制度がある。
地元の篤志家や企業からの寄付をもとにした、給付型奨学金制度をもつ自治体もある。東京都江戸川区の「木全(きまた)・手島育英資金」もその一つ。同区内に1年以上居住し、4年制以上の大学に進学する成績優秀な生徒を対象に、入学金20万円、修学金年額35万円を支給する。選考は書類と面接によって行われ、募集人数は5人程度。9月中旬から10月中旬までに必要書類を提出し、12月下旬頃には給付対象者が決定する。
千葉県香取郡東庄町の「東庄町奨学基金事業」は、同町にある東洋合成工業からの寄付金をもとにした制度だ。本人または家族が同町に居住していることが条件で、大学または大学院に在学中の学生に、1人最大年額100万円もの奨学金が給付される(1年更新)。木全・手島育英資金とともに、卒業後の進路などの制約はない。