もちろん、首都圏在住の受験生が利用できる給付奨学金もある。「明治大学給費奨学金」もその一つ。こちらは入学後に大学に申請する1年更新の制度で、首都圏に家族住所がある学生は20万円(文系)~30万円(理系)、首都圏外からの学生にはさらに10万円がプラスして支給される。募集人員が1440人という大型の奨学金で、うち「未来サポーター給費奨学生」枠(約70人)に採用された学生には、文系・理系ともに授業料の半額(約39万~56万円)が支給される。
これまでは奨学金より授業料の減免に重きを置いてきた国公立大学の中にも、独自の奨学金制度を設置するところが増えてきた。
たとえば、お茶の水女子大学の「みがかずば奨学金」は、予約型の給付奨学金。広島大学の「フェニックス奨学制度」は、入学料や授業料をすべて免除したうえで、月額10万円の奨学金を在学期間中給付するという充実ぶりだ。東北大学や新潟大学、山形大学なども、支給額が比較的大きい給付奨学金制度を設けている。
学部ごとに特色ある奨学金制度を設ける中央大学、難関資格の取得や社会貢献活動などを奨励する、所得制限のない給付奨学金がある法政大学や立命館大学など、多くの有力大学では、目的や申請条件が異なる複数の給付奨学金を用意している。2つ以上の給付奨学金を重複して受けることは認められないケースが多いが、その分多くの学生に受給のチャンスがあるといえる。
企業などの民間団体も、さまざまな給付奨学金を提供している。給付内容が充実しているものの筆頭は、JT(日本たばこ産業)奨学財団が運営する「JT国内大学奨学金」だろう。
同奨学金では指定の高校(各都道府県の上位公立進学校)から、やはり指定の国公立大学に進学する学生を対象に、まず受験費用として一時金30万円を支給。合格すると、学校納付金相当額(入学金相当30万円+年額授業料54万円)と、自宅生の場合は月額5万円の奨学金が4年間(医学部や薬学部などに進学した場合は6年間)支払われる。さらに親元を離れて下宿する場合は、月々の奨学金が10万~12万円にアップし、30万円の入学一時金も追加される。
選考は各高校最大1人ずつの学校推薦を経たうえで、書類と面接で行われる。支給を受ける学生は最大40人程度。受給生に選ばれた後に受験に失敗しても、翌年合格すれば予定通り支給を受けられる。在籍高校や志望校などの条件が合えば、ぜひ狙ってみたい奨学金だ。在籍する高校が指定外の場合は、指定国公立大に入学してから「大学推薦枠」に申請することもできる。
同様の指定校制をとる奨学金としては、「電通育英会大学奨学金」がある。こちらは国公立だけでなく、早慶上智やMARCH、関関同立などの有力私大も指定大学に含まれ、入学一時金として一律20万円、さらに最短修業年限まで月々5万円が給付される。ただし、支給対象は文系学部への進学者のみ。理系志望者は、理工学系学科対象の「日揮・実吉奨学会給与奨学金」(年額30万円、大学経由での申請)などを検討しよう。