これまで紹介した奨学金は、すべて支給を希望する側からの申請が必要。これ以外に、入試などの成績が優秀な学生の学費を免除する特待制度や、申請不要の奨学金をもらえる大学もある。
たとえば法政大学の「開かれた法政21」入学時特別奨学金は、入試の成績上位者約500人に、初年度の授業料全額に相当する奨学金を給付。明治大学や立教大学では、上位数十人に4年間の授業料相当の奨学金が給付される。
授業料の高い私立医大では、特待生の減免額も大きい。日本医科大学では、入学試験の成績上位30人に入り、実際に同大学に入学すると、入学時の授業料247万円を免除。順天堂大学の「学費減免制度(A特待生)」では、入試や入学後の成績等がとくに優秀な学生若干名に対し、6年間で最大1880万円の学費が減免される。
給付型を含めた奨学金探しの最大のネックは、情報集めだ。今回の記事で取り上げたのは、応募条件も支給額も多種多様な奨学金のごく一部。わが子が受けられそうな奨学金を条件別に簡単に検索できるような、使いやすいデータベースは今のところまだない。
「出発点は、JASSOのウェブサイトの『JASSO以外の奨学金』コーナーでしょう」と、久米氏は言う。検索機能はないが、地域別に分類されたPDF形式のリストがダウンロード可能。大学ごとの奨学金に比べて情報が集めにくい民間団体や、ローカルな自治体関連の奨学金も網羅されている。
また、大学の奨学金担当課でも、学内外の奨学金のパンフレット等を集めることができる。大学推薦や学長印のある書類が必要とされる奨学金も多いが、「単に事務的な手続きとして行われる場合もあり、それほどハードルの高いものではありません」と久米氏。
とはいえ、提出する書類や申請書の様式、申請の窓口や締め切りは、奨学金によってバラバラ。時には、いつの間にか制度の内容が変更されていることもある。
「受験直前に慌てるのではなく、ある程度事前に余裕をもってリサーチしておくのがいいと思います。あわせて、1つに絞らず複数の奨学金に出願し、重複して採用されたら条件のいいものを選ぶことも、視野に入れておきたいですね」(久米氏)。
無事に給付奨学金を受給できることになったら、その幸運に感謝して勉学に励もう。素行不良や成績不良、単位不足での留年があると、給付が打ち切られるばかりか、同じ高校や大学の後輩の奨学金枠にも影響が出かねない。「きついバイトを強いられることもなく勉学に集中できることが、どれだけ恵まれた状況であるかを自覚し、生活スケジュールも含めた自己管理を心がけてください」(久米氏)