結局、人事部は資格ホルダーをどう見ているのか
皆さんと、毎週お目にかかってきた資格の連載も、今回が最終回です。
企業は、資格や能力開発についてどう考えているのでしょう。会社、そして人事部の本音を探るため、最後に次の質問をしました。
●大和ハウス工業
「一級建築士、一球建築施工管理技士、宅地建物取引主任者など、事業を行う上で必須となる公的資格については、一層の取得促進が必要と考えます。また、今後の海外への事業展開の拡大のためには、語学力の向上は喫緊の課題であると考えています」
●ミツバ
「グローバルビジネスマンやグローバルエンジニアを認定する仕組み(試験・資格など)があると、日本の国際競争力向上の一助になるのではないか」
●三井住友海上火災保険
「目指す社員像は『自ら学び自ら考え、チャレンジし、成長し続ける社員」。知識やスキルだけはなく、仕事への取り組み姿勢や意欲などを兼ね備えていることが望ましい」
●富士ゼロックス
「グローバル市場での成長シナリオの実現には、全社でのグローバル対応力強化が不可欠であると考え、そのリテラシーの一つである英語力向上を推進しています。グローバルで活躍できる人材の育成を目指し、Q4に記述の通り、昇格試験において2012年審査からTOEIC600点を審査基準に設定しました。また、欧米地域・豪州への海外業務研修は、TOEIC700点相当、留学研修はTOEIC700点以上(もしくはそれに相当する他試験のスコア)を望ましい語学力の目安に設定しています」
●IT関連企業
「自分の能力開発を行うことは素晴らしい。『資格の先で何をしたいのか』があるとさらに素晴らしい」
●外資系企業
「まだ導入はしていませんが、MBAプログラム派遣や短期語学留学など、主に英語力改善を目的とした取り組みを検討しています」
●流通大手
「会社として推奨している資格のほかにも、通信教育や教材購入などの費用を会社が一部負担することで社員の能力開発を支援しています」
●機械大手
「業務上必要とする資格については会社も支援しているが、社員の能力開発はOJTが基本であると考えている」
●ホテル大手
「社員の自己啓発支援として資格取得を会社が支援することは有効である」
●ビール大手
「タレントマネジメントの考え方。個性やこれまでの経験はもちろんだが、保有能力や資格、教育歴を生かし、戦略的な異動配置や人事戦略を展開することも必要と感じている。『自分の人生は自分で切り拓く』という意識の向上が必要。新たな学びや経験を得て成長しなくても仕事ができる、ということでなく、学習力に満ちた風土をつくっていきたい」
●不動産大手
「学生であれ、ビジネスマンであれ、目的を持った上での資格取得は、業務における基礎知識の習得において非常に有益だと思います。ただし、資格取得自体が目的化している場合は、評価は限定的にならざるを得ません」
●不動産大手
「不動産業なので宅地建物取引主任者の資格取得には力を入れているが、それにとどまっている現状である。
社員に自己啓発の姿勢を身につけてもらいたいので、資格が取得できるかというよりは、進んで学ぶ環境作りに力を入れていきたい」
会社の社員への、「あって欲しい姿」が資格という切り口からも読み取れます。ただ、会社によってその姿はマチマチだといえるでしょう。