3分の1の会社が「資格は異動に有利」
今回は、資格が異動に有利かどうかを見ていきましょう。
「転職とまではいわないけれど、少なくともいまの部署からは離れたい」、「営業ではなく、自分が希望している経理・財務部に異動させてもらいたい」……。
理由はどうあれ、異動したい向きはそれなりに多いのではないでしょうか。
そこで異動に関して、大手を中心とした54社に問うたのが、【Q7】です。
a: はい b: いいえ
結果は
〈a〉は19社(35.2%)
〈b〉は28社(51.9%)
「非開示」「非公開」および「無回答」は5社(9.3%)
「どちらともいえない」との回答が1社(1.8%)
「職種・業種内容により保有資格に対する評価は異なる」との回答が1社(1.8%)
肯定的な「a」を回答した企業の、業種などの傾向は特にありませんでした。
ただし、前回(第5回 http://president.jp/articles/-/13461)で紹介した、「採用と資格」の関係を問うた【Q6】の質問で「新卒、中途採用どちらも有利」と回答した大和ハウス工業やブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン合同会社など7社はすべてが、今回の【Q7】でも〈a〉と回答しました。
また、【Q6】で「中途採用者のみ有利」と回答した3社中、1社は【Q7】で〈a〉と回答しています。
つまり、採用において資格を評価する会社ほど、異動においても資格を考慮する傾向が強い、と言えるでしょう。もちろん、絶対ではありませんが。
質問にあるように、大手企業を中心に社員が年に一度、希望する職種や勤務地を人事部に申告する、いわゆる「キャリア申告」制度があったり、社内で「公募制」を実施したりする会社も増えてきました。さらに、一般職から総合職への転換(あるいはその逆の転換)を実施する会社もあります。
ダイバーシティ(多様性)推進により、女性や外国人が幹部に登用されるケースも増えています。つまり、入社時の形はどうであっても、あなた次第で異動や昇格などしやすくなってきているのが、日本の会社でしょう。
現実に、大卒の総合職で入社したため、高給を受けている「働かないオジサン」はあなたの近くにいるでしょう。いわば、会社を腐らせていく存在ですが、これは働かないオジサンを放置し、見放してしまっている人事部の責任でもあります。
こうしたなかで、資格をキャリア申告などで評価する会社も3分の一強はあるという、結果となりました。自分の進路を自分で決めていける道は実は、日本の企業社会の中では広がっていて、そこに資格も絡むという形です。公募制などで「(業績・行動評価が)同等の場合は有利」(金融機関)とする回答もありました。