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二度寝しないよう「選好の逆転」を防ぐ方法

では、二度寝を防ぐにはどうすればいいのだろう。東京大学特任准教授の古川雅一さんは、「早起きの現在価値を上げるか、二度寝の現在価値を下げること」だと説く。具体策はこうだ。

「早起きの現在価値を上げるのであれば、インセンティブを用意しましょう。たとえば、30分早く起きたら、その分残業が減るので、自分へのご褒美として『30分を趣味に使っていい』といったルールを決めておきます。反対に、二度寝の現在価値を下げるのであれば、『早起きできなかった日はトイレ掃除をする』といったペナルティを科すのです。アメとムチを併用してもかまいません。ルールは紙に書いて、ベッドの前に貼っておくといいですね。そうすれば、寝起きでも目に入って、思い出しますから」

自分一人の力では心もとない場合は、まわりの人に協力してもらうといい。

「明日から朝活をする」と会社の同僚や友人に宣言して、自分を駆り立てる。朝食セミナーや朝活サークルに参加して、仲間をつくるのも有効だ。諸外国で導入されている「サマータイム」も、社会全体で取り組む朝活のようなものだ。みんなが早起きするから、自分も早起きせざるをえない。それで生産性がアップすれば、経済全体にも好影響を与える。これなど8番目の朝活メリットに数えられるだろう。

また、行動経済学には「現状維持バイアス」や「保有効果」といった理論もあって、それらを朝活に応用することを古川さんは勧める。

「早起きを続けていると、夜更かしよりも早起きに価値を見出すようになる。それが現状維持バイアス。早起きして何か得をすると、今度は早起きしないと損した気になる。それが保有効果です。朝活は習慣化できれば、自然に続けられるようになるはずです」

朝活を始めたいと思っているなら、行動経済学に裏付けられた早起き実践法を試してみてはどうだろう。

東京大学特任准教授 古川雅一
1967年、奈良県生まれ。京都大学大学院経済学研究科修了。京都大学経済研究所を経て現職。意思決定や消費行動などに関する研究を行っている。著書に『ねじれ脳の行動経済学』など。
(南雲一男、小倉和徳=撮影)
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