バナー広告や記事広告と異なり、掲載メディアのコンテンツに溶けこむような形で掲載されるネット広告をネイティブ広告と呼ぶ。有料の紙媒体では、編集記事らしく作られた広告コンテンツには「PR」という文字を冠して編集記事と区別されてきた。しかし、ネイティブアドはPRとは明示されない。
アクトゼロ・取締役の黒沼透氏によると、この種の広告が登場した背景には、バナー広告のクリック率が年々下がっていることがある。ネイティブ広告は、「広告としての自由度やダイレクト感は落ちるが、読者に受け入れられやすい」(黒沼氏)。
米バズフィードはネイティブ広告の代表格。2006年に登場し、現在月間ユニークユーザーが1億人を超える巨大サイトだが、バナー広告はゼロ。ネットの口コミで広がりそうなネイティブ広告と同時に、独自の調査記事やジャーナリズム性の高いコンテンツも配信している。ワシントン・ポストやCNNなど大手老舗メディアも次々とこの分野に参入中だ。
日本では、東洋経済オンラインとスポーツウエアメーカーのデサントが作った「拝啓、燃え尽きランナー様」というネイティブアドが好評を博した。記事はデサントのタイアップとわかるようになっており、同社のサイトへのリンクもあるが、中身はランニングに関する読み物形式だった。
ただし、注意したいのが炎上だ。バズフィードと並ぶ「アトランティック」では、新興宗教のネイティブアドを掲載し批判された。逆に、「B2C企業との相性はいい。今後は国内でも更に広がるのではないか」(黒沼氏)。