99年に帰国。上京して手取り約17万円の旅行代理店正社員に。が、体育会系のノリが嫌で退社し再び職探し。雇用保険と貯金100万円を糧に、ようやく1年後にハローワークで現職に。

「今も暇とカネさえあれば海外旅行に。北極・南極以外の全大陸を制覇しました。連休を取りたいときは、事前に同僚に頼めば融通は利きます」

数年前に都内で購入した中古ワンルームで両親と3人暮らし。実家の売却代金1400万円は、すでに重原氏と弟2人に生前贈与された。

「頭金600万円のうち半分を両親が負担。非正規でも仕事が10年間同じなのでローンが組めた。故郷は冬が厳しいし人口も減る一方。でも一緒に暮らせば生活費が浮く。年金をもらってる両親とは家計は別です」。ローンの支払いは厳しそうだが、酒は飲まず食事はご飯に缶詰、レトルト食品とすべて自炊。ケータイは持たない。

「他人にも合わせられるけど、最後は1人がいい。結婚に近づいた瞬間? ないです。振られたことはありますが……。学生時代に2人でドライブに行った程度。女性は嫌いじゃないけど、自分から動く気にはなれない」

毎日仲良く都内を歩き回る両親の介護は当面心配なさそうだが、特別養護老人ホームはどこも満杯だと伝えると、「そうなんですか!?」と驚いた様子。

「死に方について意思を確認したいとは思っています。『葬式や墓はいらない』とは言いますが、具体的にどうするかは全然詰めていない。なかなか聞いてあげる時間がないんですよね」

“不安定”と括ればそれまでだが、結末はどうあれ漂泊を好む者も世にはいる。お三方が昔日バブルの尻尾を齧り、物悲しくもどこか楽天的なのは救いだ。漂う男たちに幸多からんことを。

(石橋素幸=撮影)
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