「体験型農園」で野菜作りを楽しむ

マイファームという社名が表すように、同社の第1のビジネスは体験型農園のレンタル事業である。農家から耕作放棄地を借り受けて区画割りしたマイファームが全国に100カ所近くあり、1区画当たり月額5000~6500円前後で借りると、2年目以降は半額近くの安値になって借り続けることができる。

農具、肥料、管理指導付きの体験型農園マイファーム。

行政などが貸し出す市民農園より費用は何倍も高いが、マイファームには野菜作りに詳しい管理者がいてサポートしてくれる。農具も借りることができる。

利用者は、手ぶらで家族と一緒にマイファームを訪れ、有機無農薬野菜を育て、新鮮な野菜を食べることができる。中には、簡易のキッチンが備え付けられた「キッチンファーム」もあり、スタッフが取れたて野菜で料理したり、ピクルスや干し野菜など保存食の作り方を教えてくれる。

家族で楽しむだけでなく、一歩進んで野菜を売りたいという利用者向けには「ふくふくファーム」もあり、提携する直売所に持ち込んで、自ら値付けして売ることができる。

利用者は3000組、延べ1万人を超え、30代の若いファミリーが多い。最近では、体験型農園のレンタルビジネスを真似る会社も現れているが、西辻は「利用者が広がるのは結構なこと。どんどん真似てもらいたい」と、むしろ喜ぶ風だ。

2つ目の事業は、農業体験を経てプロになりたいと思う人向けの「アグリイノベーション大学校」である。もともと、2011年から「マイファームアカデミー」として開校し、受講生は全国8カ所で週末だけ通い、座学と農場実習を学んでいた。卒業後は農家や農協への就職斡旋や、就農を望めばマイファームが機具や備品を貸し出し、できた作物を買い取るなどの支援を行っている。

2014年には農場経営のためのビジネススクールと統合し、「アグリイノベーション大学校」となった。農業分野のビジネススクールとしてはカリキュラム・講師数ともに国内最大規模だ。2014年3月までに231人が卒業し、40人以上が就農している。中には25歳で年収800万円を確保している卒業生もいるという。

3つ目の事業は新規就農者や若手生産者のための販路を開拓する流通事業である。現在、「マイファーマー」として、京都に1店舗を構えている。マイファーマーでは、量り売りで、個包装などの無駄をなくし、農家が商品を売りやすく、商品をPRすることもできる。