妥協しない勇気をもつ
専門商社に勤務しているGさんは
「ダメもとでもいいから……と無茶な要求をするお客様が増えている気がします。これではお互いの信頼関係なんて生まれません」
と問題を指摘してくれました。では、どうしたらいいのか?お客様の要求に対して「出来ません」と断る姿勢は避けたいもの。この回答をしたことで
「どうして出来ないのか? その理由を事細かに説明して欲しい」
と詰め寄られたり、あるいは
「上司を連れてこい!」
と言われて、対処に苦慮する状態になったりするからです。特に「上司を連れてこい……」は屈辱的な仕打ち。自分には力がないから、相手にしても仕方ないとお客様に判断された状態になってしまったわけです。いずれにしても「できません」は相手を対決姿勢にしてしまう可能性がある危険な営業トークと言えます。
できれば、できないではなく、
「日本製の素材を丁寧に国内の工場でつくりあげています」
「商品はすべてご注文いただいてからつくり始めるオーダーメイド型です」
と価格や納期の意味を丁寧に説明してください。値引きの要求は高い、納期短縮の要求は遅いと感じてのこと。その高い、遅い理由を理解いただく努力をするのです。その上で「だったら他社に発注する」となったら仕方ありません。諦めてください。
ただ、営業は1回限りの仕事ではありません。こうして商品・サービス・会社のスタンスを丁寧に伝えることで価値を理解いただくことでお客様の信頼は確実に上がります。さらに別の機会で注文につながる土壌をつくることになります。
「この仕事はあなたにお願いしたい」
と言われたいのであれば、妥協した仕事は勇気をもって「しない」決断をしたいもの。それが、お客様を育て、意味深い営業の仕事に発展していくことになるはずです。