大震災以降、人気が高まっているのがマレーシア(表参照)。住環境も比較的よく、政府が外国人の誘致に積極的だ。旧英国領のイスラム国であり、イランやバングラデシュ、近隣の中国の富裕層も集まる。
ただ、少しハードルが上がる。50歳以上なら月収約28万円と約1000万円以上の資産証明、現地金融機関への約420万円の貯金の3条件が必要。50歳未満はもっと厳しい。が、年金受給者には制限はない。専門職であれば就労もOKだ。
リタイアメント査証を実施していない国では、シニアの技術力を必要とし、就労許可も優遇されている中国に就職する人も多い。日本で培った経験を現地移入することが、彼らの「老後の生きがい」となっている。
海外在住経験がなく、移住まで踏み込む勇気のない人も多いだろう。だが、楽しむことに貪欲であれば何ら問題はない。なまじ海外経験があると、すぐに日本や他の国と比較し、それが不満につながることもある。言葉についても覚えることを目標に生活すれば、「退屈だから帰国する」ということにはならないだろう。
気をつけるべきは、すぐに人を頼ろうとしないこと。「海外で一番信用できないのは日本人」とも言われ、日本人に騙されることは珍しくない。同じ日本人だからといって、警戒を解かぬようにしたいものだ。
Webサイト「海外移住情報」主宰 安田 修
1958年、兵庫県生まれ。ルポライター、広告代理店プランナー(大手旅行会社等担当)などを経て、現在はフリーライター。著書に『日本を脱出する本』『アジアで起業!読本』。
1958年、兵庫県生まれ。ルポライター、広告代理店プランナー(大手旅行会社等担当)などを経て、現在はフリーライター。著書に『日本を脱出する本』『アジアで起業!読本』。
(撮影=矢嶋健吾)