Q. どんな研修がある?

【楽天グローバル人事部担当役員 杉原章郎氏】
新卒には2カ月の合同研修があります。柱になっているのが営業研修。今年は楽天カードや楽天市場の営業を実際にやってもらいました。営業研修では、すべての人が自分とチーム、そして全体の目標を達成することを目指しています。しかし、単にノルマを達成すればいいというものではありません。この研修を通して身につけてほしいのは、もっと先の大きな目標を見据えて、目の前の目標は通過点に過ぎないと思えるメンタリティ。また、楽天では仕事を効率的に進める手順として「仕事の進め方」を定めていますが、これも営業研修を通して慣れてもらいます。新人研修以外では、1~3年目に1年を振り返ってもらう研修や、若手のリーダー層を選抜して海外事業に数カ月間研修に行く「Global Experience Program」などがあります。

DeNAヒューマンリソース統括部長 對馬誠英氏

【DeNAヒューマンリソース統括部長 對馬誠英氏】
仕事でのみ人は育つという考え方なので、いわゆる研修はほとんどありません。いまは最低限のマナー研修を1週間やるだけです。一方、ミドルマネジャーにはOJTで身につかない部分があるので、四半期に1回は集合型研修を行っています。ただ、座学はほとんどなし。創業者の南場智子はMBA取得者でありながら「MBAは意味がない」という考えの持ち主ですから、研修もワーク中心です。

【サイバーエージェント取締役人事本部長 曽山哲人氏】
人は決断の量と質によって育つ。そのポリシーがあるので、当社は研修が少なめです。新人研修は、総合職の場合、2週間のみ。なるべく早く現場に立たせて、自分の仕事の中で決断の経験を積ませます。その他、新任管理職については人事で半日の研修を行います。これは面談のスキルや労務の知識など、マネジメントに必要なものを得てもらうための研修です。また、研修ではありませんが、実質的にその役割を果たしているのが「あした会議」です。あした会議は7人の役員が新規事業や経営課題の解決策を提案し、藤田が採点をする合宿。役員1人につき5人の社員を選抜してチーム化し、選ばれた社員は2カ月間、毎週役員と一緒にプランを練ります。これが経営者目線に触れる絶好の機会になっています。

●あした会議
取締役がドラフト形式で社員を指名してチームを組み、中長期的な視点で新規事業案を競う。年2回、1泊2日の合宿形式で開催される。
(村上 敬=構成 大崎えりや=撮影)
【関連記事】
人事部が「何としても欲しい」学生
独立・起業できる会社図鑑
「英語がペラペラ」にならないと一生ヒラ社員か
IT業界の「人が育つ仕組み」とは
「恋チュンダンス」は職場活性化の特効薬だ