アメリカ約77兆円、日本約6兆円!
その推計市場規模は……アメリカで約77兆円、イギリスで約7兆円、そして我が日本でも約6兆円で、世界全体では軽く100兆円を超えるとされる。今、世界のビジネス界でもっとも注目を集めているのが、LGBT市場なのである。
LGBTとはセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)を示す言葉で、L=レズビアン(女性同性愛者)、G=ゲイ(男性同性愛者)、B=バイセクシュアル(両性愛者)、T=トランスジェンダー(性同一性障害など)の総称である。
2012年2月に電通総研が行ったインターネット調査(約7万人へのスクリーニング調査)によると、日本の人口に占めるLGBTの割合は、約5.2%。20人に1人以上はLGBTということだ。
電通総研消費者研究部の大屋洋子部長は、こう話す。
「LGBT人口が全体の4~6%という数字は以前から各調査で出ていました。左利きの人や血液型がAB型の人(いずれも人口約7%といわれる)に近い数字ですから、当然、企業や学校に一定数がいることになります」
最近は、国内外の芸能人や有名人でカミングアウト(自分のセクシュアリティを公にすること)する人が目立つようになり、その存在感は増している。
マイノリティというよりもはや「隣人」となった感のあるLGBTの実態をデータに基づき見ていくことにしよう。
まず、前提として知っておくべきはLGBTという言葉はあるものの、彼らをひとくくりにはできないということだ。L・G・B・Tそれぞれのセクシュアリティがあるのはもちろんだが、表の「LGBTの出現率」によると、本人が「自覚」する時期には段階がある。
「例えば、『もしかしたら僕は女の子になりたいのかも』などと気づきはじめるのが13歳から15歳頃の思春期、『絶対そうだ』と確信する年齢のピークが二十歳前後。一番性的なことに向き合う時期ですね。そして、次にピークを迎えるのが、実は40代なんです。40歳以上になって自覚する人が1割以上いますが、この年齢になると既に結婚をしている人も多い。なんとなく付き合って結婚して子どもも授かったものの、40代に入ったころに『何かが違う』と思い始め、離婚をされる人もいるようです」(大屋氏)
つまり、まだ「自覚」していない潜在的なLGBTの人口はもっと多い可能性があるということかもしれない。