望むと望まざるとにかかわらず、仕事で海外に出る日本人は増えている。ビジネス成功のためにも、ぜひ世界で通用するマナーをマスターしておきたい。

かしこまった接待やパーティを主催する場合、気をつけたいことの一つに、国旗の扱いがあります。国旗というのは国の顔であって、国際儀礼ではもっとも重要な敬意表現。もし国旗が破けていたり、どちらかの国旗が小さい場合は、その国への不敬行為に当たりますし、複数国が並列される場合は左側が上位になるなど、配置からポールの立て方まで厳格に決まっています。もし扱いがわからなければ、外務省や大使館に問い合わせるといいでしょう。

ドレスコードがある場合はきちんと守りましょう。主催者はある目的のもとに会を催していて、その格式を保つために服を指定しているわけですから、それを勝手に変えることは侮辱を意味します。ナショナル・コスチュームは最も格式の高い装いの一つなので和装でもかまいませんが、紋付き袴といった男性の和装はNGなので気をつけてください。わからなければ主催者に聞きましょう。

ヨーロッパには、ホテルに宿泊するとき、偉い方ほど上階に泊まるという習慣があります。しかし、震災以降、低い階をお望みになる方が増えました。私は最近、必ず秘書の方にどのくらいの階がいいのかを聞くようにしています。マナーとは時代や環境で変わることもあり、教えられた型をなぞるだけではないのです。

まさに「上善水の如し」で、お相手のことを慮って臨機応変に対応していけることこそが、国際社会に通じる本当のマナーかと思います。