仕事の大半がメールでやりとりされる昨今、短く感じのいいメールを書くことは重要なスキルのひとつ。達人たちによる、「最新メール作法」を場面別に紹介しよう。
浅野塾塾長 浅野ヨシオ 
1968年生まれ。メールをフル活用したネット婚活体験から編み出した“心をつかむメール術”をビジネスに応用。著書は『たった1通で人を動かすメールの仕掛け』。

浅野塾塾長の浅野ヨシオ氏が断言する。

「どんなメールでもそうですが、とりわけ相手の依頼を『断る』ときは冒頭で結論を書くことです」

浅野塾は、その人ならではのオンリーワンの強みを見つけ出し、ビジネスに活用する手法を数える私塾。浅野氏が提唱する「自然に相手の心をつかむ」メールテクニックは、人目を引き付ける大胆な言葉選びと緻密な構成が特徴だ。

「会話はアドリブで構いませんが、メールの文章は脚本に書かれたセリフでなければいけません。『相手を動かす』という意図をもって練り上げるのです」と浅野氏はいう。

では、なぜ最初に結論を書くのか。

「読むほうは結論を早く知りたい。そこに余計なことが書かれていると、わざとらしく姑息な感じがするものです。最後に『断る』という重い事実を突きつけられれば、気持ちがさらに下向きになります。今後の関係もぎくしゃくしてしまうでしょう。そうではなく、メールの最後では気持ちを上向きにさせて終わりたいわけです」

最初に「断る」という重い事実を伝えておき、理由の説明に移る。そして最後には、気持ちを上向きにさせるような別の話題に転じることが大事なのだと浅野氏はいう。

断る理由を説明する部分では「自分を取り巻く環境などを、できるだけ情緒的に書くことです。人はエピソードにしか感動しないといいますが、情緒的にエピソードを連ねることで、断らざるをえない自分に共感してもらうのです」という。

締めの言葉にも配慮が必要だ。

「『すみません』『申し訳ありません』という後ろ向きの言葉で終わると、気まずい雰囲気が残ってしまいます。相手との関係が今後も続くことを考えると、『どうかお察し願えればうれしいです』などの上向きの言葉で締めくくりたいですね」