2番目にあげた「情報共有型の会議」とはどういうものか。

バンダイにはガシャポン(カプセル玩具)やプラモデルなど製品別に11の事業部がある。月1回、各事業部の代表者が集まり報告会議を開く。参加者は、形式的には僕に対して事業の中身や進捗状況を報告する。大事なのは、その報告を他の参加者全員が共有するということだ。

ふつうは事業部が異なれば仕事が重なることもさほどない。そのため、他の事業部が報告を行っている間は、身を入れて聞いていない人が多いだろう。だが、会社全体の動きは必ず目の前の仕事につながってくる。それをきちんと吸収しようとする姿勢が必要だ。

さいわいなことに、バンダイには「ガンダム」「ドラえもん」など複数の事業部が関係するキャラクターという“横串”が存在する。情報共有型の会議に出れば、たとえば同じ「ガンダム」関連で、他の事業部はどう動いているのかということが確認できるのだ。

異論・質問は一切、受け付けない

ここで注意すべきなのは、「わかりやすく話せ、しかし相手のレベルに合わせすぎるな」ということだ。

話の中身を伝えるには、わかりやすく話さなければならない。しかしその一方、聞き手の事情に配慮しすぎて必要以上に懇切丁寧に語ろうとすれば、かえって会議進行の妨げになる。情報共有型もセレモニー型と同様、時間内に切り上げることを優先すべきなのだ。

実は情報を「共有」する相手は他人だけとは限らない。会議で発表するには事前の資料づくりが必須である。資料づくりとは、自分がいま手がけている仕事の目的や進捗状況を、わかりやすくまとめ上げる作業である。それを終えたうえで資料を読み込み、会議の場で発表すれば、仕事の目的や現状、課題がより整理された形で自分の中に染み込んでくる。

「自分との共有」も、情報共有型会議の隠れた効用なのである。

ところで、バンダイの情報共有型会議では異論や質問を一切受け付けない。聞き手が疑問を持つのは当然だが、それをいちいちその場で解決していたら会議はいつまでたっても終わらない。だから質問があれば、会議のあとで個人的に聞きにいくことになっている。

そもそも質問とは、説明や報告に対して「自分がどのように納得したか」を確認する作業といえる。つまり公開の場でやり取りをする(=情報共有する)性質のものではないのである。

3番目の「情報収集・意見交換型会議」とは、業界の動向やデータ分析をもとに対策などを練り上げる会議である。これが最も「会議」のイメージに近いだろう。