会議は意思決定を共有する手続き

<strong>リコー社長 近藤史朗</strong>●1949年、新潟県生まれ。73年新潟大学工学部機械工学科卒業後、同年リコー入社。2004年MFP事業本部長、05年取締役専務執行役員、07年4月から代表取締役CEO社長執行役員。「山荘の外構を造るためのコンクリートを練っていたときに、IKON入札の電話が鳴った」。
リコー社長 近藤史朗●1949年、新潟県生まれ。73年新潟大学工学部機械工学科卒業後、同年リコー入社。2004年MFP事業本部長、05年取締役専務執行役員、07年4月から代表取締役CEO社長執行役員。「山荘の外構を造るためのコンクリートを練っていたときに、IKON入札の電話が鳴った」。

会議は長いけれど、意思決定が早い――。それがリコーの会議の伝統といえると思います。リコーの場合、会議は最初から結論が決まっていることが多く、その結論について「どうしようか?」という話にはほとんどなりません。

2008年8月に世界最大の事務機器販社である米アイコン社を約1721億円で買収しましたが、この買収案件についても社内会議に諮りながら、私の中では「買う」という結論は出ていました。会議では買収の課題やリスクについての議論だけでなく、慎重論も聞かれましたが、桜井(正光)会長からは「(買収金額が)ここまでなら会議をしなくていい。任せたから君たちで判断して決めろ」と言われました。現場に権限が与えられるからこそ、リコーは意思決定が早いのです。

結論が決まっているのに会議に時間をかけるのは、会議自体が意思決定を組織全体で共有するための大事な手続きでもあるからです。多くの場合、会議の目的は意見を出し合って皆が納得して共有できる結論を導き出すことです。しかし、時として、「やる」という意思決定をしているのだから、やるためにはどうしたらいいか、どうやればベストかを議論してください、と会議を方向付けするケースが出てくる。大事なのは、その場合どうするかです。