そしてちょうどその頃日本に赴任した、海外で農業プロジェクトを担当した上司と一緒にクライアントをまわり、ついに農業プロジェクトの実現にこぎつけたのです。

どうしてもやりたかった仕事をすると、自ずとパフォーマンスも向上します。寝る間も惜しんでプロジェクトに取り組んだ結果、社内で昇進することもできました。もし自分でアクションを起こさなかったら、会社での立場も失っていたでしょう。

一つの会社に一生勤めるという時代ではなくなった今、やりたいことをやらないことこそ、最大のリスクです。ただ、自由度は会社によりけりなので、社内で自分のやりたいことを実現する道もあれば、オフの時間を使い社外で実現する道もあるでしょう。

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震災後、6割が社会貢献を意識

実際、最近は会社のリソースを使って新しい事業を立ち上げたり、本業とは別に週末を使ってNPOを運営する人が増えています。そうした動きが顕著なのが東北です。

私自身は東日本大震災直後にマッキンゼーを休職し、NPOに参加して東北へ入りました。テレビで惨状を見たとき、自分ができることをしなければという強い思いに駆られたためです。

震災の5カ月後には正式にマッキンゼーを辞め、今は食品ネットスーパーのオイシックスで海外へ農産物の販路を広げる仕事をするとともに、東日本の食の復興と創造を支援する「東の食の会」という一般社団法人で事務局代表を務めています。非常に忙しい毎日ですが、自分の問題意識と合致した仕事ができるポジションを得て、とてもやりがいを感じています。

「東の食の会」事務局代表/オイシックス海外事業部長 高橋大就 
外務省を経て、マッキンゼー&カンパニー入社。3.11後に休職し、「東の食の会」事務局代表就任。その後、マッキンゼー社を退社し、現在はオイシックス海外事業部長も務める。
(構成=宮内 健 撮影=宇佐美雅浩)
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