複数国を競わせるインドのしたたかさ

ところが、情勢はさらに変わりつつある。この路線には最終的に8両編成の列車49本が必要になるのだが、インド側は日本製よりも安価に調達する道を模索している。

インターナショナル・レイルウェイ・ジャーナルによると、日本は49本を2000億ルピー(約3320億円)で供給すると提示したが、インドは欧州のメーカーからおよそ半額で別の車両を購入できないか検討している。

同誌はインド政府に近い筋の話として、インドが最終的に日本の車両を調達しない見通しだと伝えている。日本と同時にE10系をデビューさせる選択はインドにとって悪い話ではなかったが、さらに安く調達する道を求め、欧州勢との契約を視野に入れている形だ。

信号システムについても、少なくとも当座の方式としては、日本方式は採用されなかった。インターナショナル・レイルウェイ・ジャーナルによると、NHSRCLは2025年前半、信号・列車制御システムの製造から設置までをドイツのシーメンスとインドのDRAアガルワルの合弁企業に発注した。414億ルピー(約687億円)のこの契約では、欧州標準規格ETCSのレベル2に準拠したシステムを、「当面の」技術という位置づけで採用する。

インドの国旗と日章旗
写真=iStock.com/Oleksii Liskonih
※写真はイメージです

中国方式を避け、計画段階から日本の協力を取り付けたインド。低金利の円借款を利用することで債務負担を軽減し、駅舎の街中立地などを実現することで国民が利用しやすい高速鉄道を目指した。だが、当初円借款と一体であった日本製車両の採用という条件が守られるかは不明だ。

複数の国を競わせ、したたかに旨味を引き出す動きが見え隠れする。

(初公開日:2026年9月3日)

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