見返りを求めず、まず“こちらから”贈る

ただの「すごいですね」ではなく、“あなたの「その部分」を、私はちゃんと受け取って、価値あるものだと思っています”という、具体的で深い承認。

こうした、相手の存在や行動を名指しで認める肯定的な働きかけを、心理学(交流分析)では「ポジティブストローク」と呼びます。

グッドサインを送る女性二人
写真=iStock.com/dragana991
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ストロークとは、もともと「なでる」という意味。言葉で、相手の心をそっとなでてあげるイメージです。

人は、否定されると心を閉じ、肯定されると心を開きます。あなたが深い承認を贈れば、相手の心には温かい火が灯り、「この人は、本当に自分をわかってくれた」という、一段深い信頼が生まれます。

ここで大切なのは、見返りを求めず、まず“こちらから”贈ること。「褒めてくれたら、褒め返そう」ではありません。先に自分から相手のいいところを見つけて、共感し、肯定する。その小さな積み重ねが、あなたの「好きメーター」を確実に高めていきます。

「好きメーター」とは、あなたと相手との間の「関係性」である信用残高を構成する「3つのメーター」のひとつ。

信用残高を構成する「3つのメーター」は、「好きメーター(理屈抜きの人間的な好意)」と「関係性メーター(あなたと相手との間に流れた「時間の積み重ね」と「思い出の共有」、「ネットワークの関係性」)」です。

逆に、やってはいけないのが、ネガティブストローク。

せっかく打ち明けてくれた話に、「でも、それって○○じゃない?」と否定や評論を返してしまうことです。良かれと思ったアドバイスでも、このタイミングでは、開きかけた相手の心を、もう一度閉じさせてしまいます。

まずは、深く聞いて、具体的に肯定する。プラスのエネルギーを贈る。この姿勢こそが、相手の心を開くのです。

最強の武器「後出し自己紹介」

リアクションと質問を駆使して、あなたは相手から多くの情報を引き出すことができました。相手の情熱、葛藤、そして今の目標や共通点……。あなたはもう、相手がどんな人間なのかを深く理解しています。

そして、いよいよ「あなたは、何をしている人なんですか?」と、ボールがこちらに返ってきます。この瞬間こそ、あなたが最強の武器「後出し自己紹介」を使う絶好のチャンスです。

多くの人が、自己紹介は、あらかじめ準備した定型文を、誰に対しても同じように話すものだと思っています。しかし、それではその他大勢の中に埋もれてしまいます。

本当に相手の心に突き刺さる自己紹介とは、相手の話を聞いたあとでなければ決してできない、その人のためだけにカスタマイズされた、たった一度のプレゼンテーションなのです。

なぜなら、先に相手の話を聞くことで、あなたには3つの圧倒的なアドバンテージが生まれるからです。

1:相手が求める「未来」がわかる
2:相手との「共通点」が見つかる
3:相手の役に立てる「貢献ポイント」がわかる

これらの情報を手に入れた上で繰り出す「後出し自己紹介」は、まるで相手の心を読むかのような、驚異的な効果を発揮します。

具体的なテンプレートは、以下の通りです。

【後出し自己紹介1】

「○○な話、すごく共感します。実は私も……」
(共通点で心を開く)

最初に、相手の話の中から見つけた共通点を提示し、「私も、あなたと同じ人間です」という共感の橋を架けます。これにより、相手は一気にあなたへの親近感を抱きます。

(例)「先ほどおっしゃっていた『情熱はあるのに伝えられない』という話、すごく共感します。実は私も、かつて350万円の赤字を出して……」