優れた競争戦略は、論理的に無理のない、筋のいいストーリーとして語られなければならない。これが本書の主張である。500ページのボリュームだが、本自体の物語性が高く、一気に読めた。

まずは軽いジャブとして、「あなた方の多くが戦略だと思っているものは、実は違いますよ」といった、やや挑発的な言辞から入る。構成要素を吟味しただけの「アクションリスト」は違いますよ。成功事例の最も目立つ部分から教訓を引き出そうとする「ベストプラクティス」も違いますよ。SWOT分析などに代表される「テンプレート」も……。うーん、耳が痛い。

続く二章では、業界の競争構造について確認したうえで、戦略的ポジショニング(頭を使う本社発の戦略)と、組織能力(体を鍛える現場発の戦略)について解説している。ここではポジショニング志向のフォードと、組織能力志向のマツダの対比が日米文化の違いも含有しているようで興味深い。