※本稿は、大久保泉『知られざるアメリカ外交儀礼』(角川新書)の一部を再編集したものです。
優劣をつけないための「国旗配置」
複数の国旗を掲揚する場合は、掲げ方によって国家間の優劣を示しているように見えないよう、旗の大きさとポールの高さをそろえるのが原則である。多国間会議などで複数国の国旗を並列で掲揚する場合は、各国旗を同じ高さの別々のポールに掲げ、旗の大きさも概ね同等とする。
米国旗は旗から見て一番右、つまり観客から見て一番左に置き、それに続いて各国の国旗を国名のアルファベット順に並べる。例外として、米国旗が他国旗の並びの中央に配置される場合は、他のどの旗よりも高い位置に掲揚するのが基本である。
国旗ポール先端の装飾は、フィニアルと呼ばれる。米国では通常、「槍(TheSpear)」または「鷲(The Eagle)」が用いられる。「鷲」のフィニアルは、大統領と副大統領の行事に限って用いられるのが原則である。ただし、この点はあまり知られておらず、一般には米国国旗には鷲のフィニアルを飾るものと誤認されている。そのため、大統領が出席しない行事や学校、家庭での掲揚でも、鷲が用いられることは多い。
槍のフィニアルは、通常金色または銀色で、国務省で最も頻繁に用いられる。槍は「強さと勇敢さ」の象徴とされ、国旗にふさわしい装飾と認識されている。
応急処置には針金ハンガーとガムテープ
屋内で国旗を掲げる場合、旗の折り目や垂れ方がばらつくと見栄えが崩れるため、布の形をそろえることも儀典の仕事の一つである。
米国国旗を屋内に設置する際にも作法がある。国旗の紅白のストライプが観客から見て右下に流れる向きになるように掛け、ポール先端側の上端(ユニオン側の角)が、裾の右下の角の真上にくる形にする。主に屋内用の国旗や儀礼用の旗を美しく見せるための専用器具に、「フラッグスプレッダー」と呼ばれる小道具がある。
無風の屋内では旗がポールに巻き付いたり、垂れ下がったりするため、フラッグスプレッダーを使って旗を自然に見えるように少し広げた状態で固定し、観客からの見た目を保つ。ポールに取り付けた2本のアームで旗を支え、概ね人の肩幅ほどに広げるのが基本である。広げすぎず、自然に見せることが大切である。
フラッグスプレッダーがない場合の応急処置として、ワイヤーハンガーとクリップ、ガムテープを使う方法もある。ハンガーを逆三角形になるよう逆さにしてポールに固定し、そこに旗を巻きつけて形を作り、裏でクリップで留める。ハンガーは肩幅なため使い勝手がよく、正面から見たときに国旗が自然に流れる形を作れる。応急処置としては便利である。実際、私は海外出張の際、ワイヤーハンガー6本とガムテープを持ち歩いていた。
