地震の専門家から震災後に飛び交った「想定外」という言葉。震災前の安全神話はもろくも崩れ去った。大災害にも負けない住まい選びに必要な知識を徹底的に検証する!

地震・津波・台風・集中豪雨・土砂崩れ・雷・噴火・竜巻・異常気象などなど地球上には多くの自然災害が存在する。こうした中、わが国は、温泉が各地で湧き出し、水が豊かで四季の移り変わりがあり、自然からの大きな恩恵を受けて、これほど豊かな国はないといえる。しかし、温泉が出るということは地震活動や火山活動が活発ということであり、水が豊かということは雨や台風が多いということ。自然の恩恵と表裏をなして、日本は自然災害の多い国でもある。

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災害対策を進めるほど、被害が増す!

ドイツの会社「ミュンヘン再保険」は、世界各都市の自然災害のリスクを調査し発表している。「自然災害の発生危険性」「住宅密度や安全対策水準など都市の脆弱性」「経済の影響規模」の3要素で比較したものだが、ロサンゼルスを基準とすると東京は7.1倍の危険性があり、世界各都市の中で飛び抜けた自然災害リスクがあると指摘されている。この結果は、経済への影響が大きいことが主な要因と思われ、災害が多いということだけでなく、一極集中の問題も存在する。

「都市は危険に満ちており、防災という観点から考えれば、人が密集する東京に住むのは非常に危険です」

と、防災科学技術研究所客員研究員の水谷武司氏はいう。効率や住みやすさなどと防災は、本来相容れないものなのだ。さらに驚くべきことに、防災工事をすればするほど、災害時の被害が増すのだという。

「被災レベルは、住民の防災意識に大きく左右されます。東日本大震災のときの当初の警報は、『3メートル以上の津波がくる』というものでした。これを聞いて、とにかく一目散に逃げるのか、3メートルなら堤防でなんとかなるだろうと考えるか、でまったく結果が違ってしまった。実際には15メートル級の津波がきたのです。防災工事やハザードマップで、自分が安全な地域に住んでいるからと安心すると逆に悲惨な結果を生むのです」