地震の専門家から震災後に飛び交った「想定外」という言葉。震災前の安全神話はもろくも崩れ去った。大災害にも負けない住まい選びに必要な知識を徹底的に検証する!

住まい選びの一番の指標になるのが、1981(昭和56)年以前に完成した建物かどうかということだ。この年には建築基準法施行令の改正が行われた。国内で建物を建築する場合は、木造であろうと鉄筋コンクリートなどであろうと、建築基準法の各種基準を守った建物でなければならず、公的な確認・検査が必要である。81年の改正では、大地震に対する基準がそれまでなかったが、崩壊させない程度の耐震性を基準として示した。また、具体的には柱の強度の基準を鉄筋量を多くして高めたり、木造においても基礎への緊結、壁量計算の見直しなどが含まれることとなった。

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阪神大震災での築年別建物被害状況

95年の阪神淡路大震災では、82年以降に新耐震基準で建てられた建築物の約75%が「軽微か無被害」であったにもかかわらず、81年以前の建築物で「軽微か無被害」であったのは約34%にすぎなかった。95年4月現在の阪神淡路大震災での死者5502名のうち、家屋や家具による圧迫死が4831名・約88%であったことを考えあわせると、「1981(昭和56)年」というキーワードの重さは無視できまい。

次に、木造住宅の危険性について見てみたい。日本建築防災協会では「誰でもできるわが家の耐震診断」をパンフレットやインターネットで公表している(同協会ホームページでは、わが家の耐震診断のほか耐震に関する相談窓口一覧や助成制度紹介などを行っている。http://www.kenchiku-bosai.or.jp/seismic/wagaya.html)。この「診断」は自宅の状態を簡単に判断するために10の項目を自分で診断するものだ。中から若干、紹介しよう。

「建物の平面はどのような形ですか?」。自宅1階の平面図に着目し長方形に近い形なら比較的に強く、凸型やL字型・ロの字型は要注意。「大きな吹き抜けがありますか?」。一辺が4メートル以上の吹き抜けは危険な可能性がある。「1階と2階の壁面が一致しますか?」。外壁とずれていても内壁が一致していれば安全。これらはあくまでも一つの目安であるので、専門家の耐震診断が必要だが、この10項目を評価して7項目以上にあてはまる場合は「心配」とのこと。一度、試してみて住まいの耐震化を考えるのも大切なことであろう。