地震の専門家から震災後に飛び交った「想定外」という言葉。震災前の安全神話はもろくも崩れ去った。大災害にも負けない住まい選びに必要な知識を徹底的に検証する!

「あっ地震だ、と思って、とっさに家具を必死で押さえたんです。おかげで(家具は)倒れずにすみました」

東日本大震災の際に東京都内の自宅で家具を守ったことを、とあるご婦人は、私に自慢げに語った。

しかし、よく考えていただきたい。地震で揺れているのは家具だけでなく、自分自身も同じく揺れている。家具が倒れない程度の地震であったから倒れなかっただけで、家具が倒れるほどの揺れならば自分もろとも倒れてしまう。

大切な家具を守ろうとすることは非常に危険で、地震発生時にまずしなければならないのは、自分の身の安全を確保することである。怪我をしては避難もできなくなってしまう。防災の知識は、間違って身につけるとかえって危険なのだ。とりわけ個人にとってハザードマップは見方を間違えれば被害を拡大させる可能性がある。

東京都では1975年からおおむね5年ごとに「地震に関する地域危険度測定調査」を実施している。直近では2008年に第6回が公表されているが、内容は都内の各町丁目ごとに「建物倒壊危険度」「火災危険度」を5段階で相対評価し、これらを合わせて「総合危険度」を判定するものだ。「建物倒壊危険度」は、建物の棟数の多寡・構造の耐震性・建築年代、そして地盤の特性・液状化の可能性を考慮して判定されている。

危険度4122位で死者が発生の理由

危険度が一番高いのは、墨田区京島2丁目で1ヘクタール当たりの倒壊数が35.15棟と30棟を超えている。次いで、2位・台東区竜泉3丁目、3位・墨田区墨田3丁目、4位・墨田区東駒形2丁目、5位・台東区浅草5丁目と続く。

しかし、この判定は特定の震源地を想定せずに一律に30カインという地震動の強さを与えた場合(地盤条件が悪い所で震度6強)の結果であり、震源の位置や揺れの強さによってほかの地域でも大きな被害が出る可能性を忘れてはならない。

現に、東日本大震災では東京都内でも九段会館大ホールにて天井の一部が落下し2名の死者が出ている。九段会館のある千代田区九段南1丁目の「建物倒壊危険度」は、全5099町丁目中、4122位だった。東京都以外の自治体でも同様のことが起きている。