日本を代表する「超一流の研究者」
奨励会は外部監査で不正行為を確認したとして、理事会と評議員会でH先生を解任しました。警察にも相談したうえで、刑事・民事の両面から責任を追及するとしています。解任こそされましたが、H先生にも当然言い分はおありで、今後、起訴されれば当然刑事裁判になります。繰り返しになりますが(重要)、現段階では推定無罪ですし、その点での論評は差し控えます。
弊所としても月額負担で奨励会に事務の一部を委託したり、関係する教授の皆さんとご一緒したりしていたのですが、問題が起きると私は名指しで突然「黒幕」だと言われ、特に何もしていないのに怒られが発生して非常に難儀した次第でございます。
さらに厄介なのは、染谷さんが国の大型プロジェクトと深く結びついた人物だという点です。
染谷隆夫さんは、大変優秀な研究者でいらっしゃいます。従来のシリコン半導体とは異なる「有機半導体」や、薄く曲げられる「フレキシブル・伸縮性エレクトロニクス」の世界的なパイオニアです。D&Iを掲げたメタバース工学部を研究科長として立ち上げたのも染谷さんでした。
大物政治家が選考を批判するワケ
そして国内で言えば、ラピダスも染谷さんが深く関わる案件だというのが半導体業界の共通認識です。東大はラピダスと組む研究組合「最先端半導体技術センター(LSTC)」に参画しており、染谷さんは東京大学で産学連携を担当する副学長でもあります。そのラピダスには、経済産業省が2026年度から27年度にかけて約1兆円の追加支援(補助金や追加出資)を行う方針を打ち出しており、政府からの累計支援額は約2兆9000億円に達する見通しです。
そこへ、なぜか、自民党の半導体戦略推進議員連盟を立ち上げてラピダス支援の旗を振ってきた元自民党幹事長・甘利明さんが、9月29日にXで「ダブルスコアで勝った候補を外すって何のための投票なんだろう?東大の闇は益々深まる?」と、染谷さんが総長になりそびれた件で選考を腐す発言をなさるなどして、大変きな臭くなっています。
もっとも、2019年の『文部科学教育通信』のインタビューで学長選考会議に外部の人間を入れる改革を語り、それまでの学長選考を「労働組合員の投票で社長を決めるようなもの」と切って捨てていたのは、ほかならぬ甘利さんご本人です。
投稿には経緯を説明するコミュニティノートまでつき、特大ブーメランだと総ツッコミを受ける始末です。

