ロシアも中国も心から信用できない
イランと遠慮なく話し合える主要国は、実は意外なほど少ないと言えます。今日、イランとロシアは、少なくとも表面的には良好な関係にありますが、イラン人の本音からすれば、ロシアは、帝政ロシア時代とソ連時代を通じて、イランの一部を強奪した宿敵であり、心の底から信用することはできません。
2021年3月に、イランと中国は、25年間の包括的協力協定(「イラン・中国包括的戦略パートナーシップ」)を締結し、経済、エネルギー、安全保障、インフラ分野での連携を強化するなど、両国の関係が急速に接近しているのは事実です。しかしそこには限界もあるでしょう。
イランからすれば、原油輸出の約90%は中国向けで、極めて重要な経済的パートナーです。しかし中国からすると、イラン産原油は、中国の原油輸入の約10%にすぎません。一方、ペルシャ湾を挟んでイランと敵対関係にあるサウジアラビアとUAEからの原油輸入のシェアは40%以上に達しています。
アメリカとイランを繋ぐ鍵は日本にある
こうした状況のなかで、いざとなった時、中国は、イランとアラブ系湾岸産油国のどちらを優先するのか。実際、私はテヘランで、「中国とイランが接近するにしても、そこには限界もある」と中国側がイラン側に直接伝えた、という話を関係者から聞いたことがあります。
また、当時の駐イラン・中国大使は、次官レベルではなく閣僚と頻繁に面会できるなど、イランの政権内部にかなり食い込んでいましたが、数人のイラン政府関係者に中国との関係について尋ねたところ、皆が「中国は嫌いだ」と口を揃えていました。
より長い歴史から見れば、中国とイラン(ペルシャ)は、ともに「歴史の古い文明」を誇っています。こうした「大国意識」から互いに牽制し合う雰囲気を感じます――私はペルシャと中国の「文明の衝突」と呼んでいます。さらに言えば、英国とは帝国主義時代の因縁があり、ドイツは、イスラエルと微妙な関係にあります。
このように考えると、米国と率直に話ができて、イラン側も信用している国というのは、日本くらいしかないのです。ですから、日本が米国とイランを仲介して緊張を緩和させる余地は十分にあるはずです。
検索時にプレジデントオンラインに関連する記事が表示されます



