人口1000万人の国に1年で16万人

スウェーデンは長く、人道主義と多文化主義の優等生と称賛されてきた。

移民局によると、2015年には、人口約1000万人の国に16万2877人もの庇護申請が殺到した。これは、人口比では欧州でも突出した規模である。審査は翌年以降にずれ込み、2016年だけで7万人超が保護を理由とする在留許可を得た。これを含む同年の移住者数(スウェーデン生まれの帰国者を含む)は16万3005人と過去最多を記録し、出生国別ではシリア生まれが5万1540人と全体の3割強を占めた。

その後、住宅、学校、福祉、雇用、警察の処理能力を超え、社会の各所に移民独自の「並行社会」が形成された。

「移民が増えて治安悪化」は偏見?

スウェーデン犯罪防止評議会Bråは、同国の殺人率が過去十数年で上昇し、多くのEU諸国を上回るようになったとしている。こうした治安悪化を「偏見」として片づけることはできない。

銃器殺人は2005年ごろから増え始め、2013年以降は殺人全体を押し上げた。欧州平均が人口100万人当たり約1.6人であるのに対し、スウェーデンの銃器殺人は約4人。近年は殺人件数が減少しているが、長期的なギャング銃撃と爆破の深刻さが消えたわけではない。

移民背景と犯罪の関係も、公式資料に表れている。Bråの2021年報告では、スウェーデン生まれで両親も同国生まれの人々と比べ、犯罪容疑者として登録される相対リスクは外国生まれで2.5倍、両親とも外国生まれの国内出生者で3.2倍だった。

性犯罪についても同様だ。スウェーデンの人口登録を用いた2026年刊行の査読研究は、2000年から2020年に成人女性への強姦・加重強姦・未遂で有罪となった4032人を分析した。そのうち、本人も両親もスウェーデン生まれだったのは36.9%にとどまる。裏返せば63.1%は本人または親に国外出生歴があった。

社会経済状況、薬物障害、精神疾患、過去の犯罪歴を調整しても、移民背景との関連は残り、とりわけ15歳以降に移住した国外出生者で強かった。