日本では「過去の病気」だが…
1885年7月、狂犬に全身を14カ所も噛みちぎられた9歳の少年がパストゥールの下に運び込まれます。彼のワクチンは犬での実験は成功していたものの人間に対しては未承認のままでした。失敗すれば間違いなく殺人罪――パストゥールは人生最大の決断をし、10日間にわたってワクチンを少年の腹に注射しました。
ウイルスが脳に到達するのが早いか、免疫を作り出すの早いかのデッドヒートの結果、少年は奇跡的に生き延びたのです。このギャンブルが、現代の予防医学の扉を開きました。
日本において狂犬病は、1950年代制定の狂犬病予防法により半世紀以上も国内発生がなく、過去の病気だと思われているかもしれません。しかし世界では今でも毎年数万人が発症し命を落としています。
私たちの毎日が平和なのは、医学の進歩と厳格なワクチン接種という「人間の知性が作り上げた見えない防御壁」が食い止めているだけなのです。最強の防御壁であるワクチン接種を怠った時、致死率100%の死神はすぐに私たちの脳をハッキングするために牙を剝くでしょう。
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