「最悪の宦官」と「最後の宦官」
コンプレックスを爆発させ、国を喰らい尽くした歴代最悪の宦官が魏忠賢です。明の時代、博打の借金から自ら去勢した彼は、趣味の木工細工に没頭し、政治に無関心な皇帝に付け込んで権力を乗っ取りました。自分を「9000歳だ」と称し、残虐な拷問や自分の銅像を全国に作らせるなどし、明を滅亡のカウントダウンへ追いやりました。
数千年続いた宦官制度の幕引きには次のような悲劇も生まれました。貧困から抜け出すため、父親の手で去勢された中国最後の宦官・孫耀庭。激痛と昏睡の3日間から彼が目覚めた時、なんと辛亥革命によって清朝皇帝は退位し、王朝は滅亡していたのです。
仕えるべき皇帝も消滅し、残ったのは「宝」を切り落とされた体と尿漏れだけ。彼は激動の時代を「化け物」として蔑まれながら生き、1996年にこの世を去りました。
宦官たちは生きるため、何者かになるために体の一部を差し出しました。それは過去の異常な風習に過ぎないでしょうか。現代の私たちも、出世のためにプライベートを切り捨てたり、会社のために本音を押し殺したりするなど、目に見えない何かを「切断」して生きているのではないでしょうか。宦官の歴史は、私たち自身にも重い問いを投げかけているのです。
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