1日10分の「大股歩き」が寝たきりを防ぐ

「何もない平らなところでつまずくようになった」。これは加齢のサインの定番ですが、その正体は足の筋力低下ではなく、背骨と太ももの骨をつなぐインナーマッスル「大腰筋」の衰えです。大腰筋は、足を引き上げるエンジンの役割を果たしています。ここが弱ると足が上がらず、すり足になり、転倒リスクが高まります。

さらに悪いことに、姿勢を保てなくなり、将来の「寝たきり」へと直結します。ジムで重いバーベルを持ち上げる必要はありません。大腰筋を鍛える最強の方法は、“いつもより大股で歩くこと”。まずは、1日10分からです。

冬場のウォーキングは要注意

具体的な方法の前に、循環器内科医として一つだけ注意点があります。真面目な50代は「朝のウォーキング」を好みますが、特に冬場の早朝は気をつけてください。

寝起きは脱水傾向で血液がドロドロ、かつ交感神経が急激に活発になる時間帯です。

そこで冷たい空気に触れて血管が収縮すると、血圧が急上昇し、脳卒中や心筋梗塞を助長することがあります。

寒い日の大腰筋ウォーキングは、十分な防寒対策をするか、あるいは体が温まっている日中、夕方の帰宅時に行うのがベターです。

「毎日歩こう」と漠然と決意しても、多くの人は三日坊主で終わります。

50代の習慣化に必要なのは、精神論ではなく“終わりが見えている安心感”です。ここでアップルウォッチの「タイマー(ストップウォッチ)」を使います。

「家に帰るまでずっと」ではなく、「タイマーが鳴るまでの10分間だけ」と決めることで、運動の心理的ハードルは劇的に下がります。この10分間だけは、スマホを見ず、背筋を伸ばし、普段よりこぶし一つ分広い歩幅で歩いてください。そのフォームこそが、大腰筋への筋トレになります。