「新規集客の沼」という罠

その当時注力していた施策は、次の3つです。

①インスタ発信
②TikTokの動画撮影
③新規顧客への割引

しかしこの3つ、全てうまくいっていませんでした。単に「うまくいっていない」というのではなく、たちの悪いことに表面上は3つ全てが成功していたのです。

スマホの画面に表示された各種SNSアイコン
写真=iStock.com/hapabapa
※写真はイメージです

ある人気女優が来店し、インスタに投稿してくれたおかげで、ファンの方々が多数来てくれました。新しく取り組んだTikTokもバズりました。新規顧客に向け値下げをしたら、狙い通りに客数が増えました。

「あの女優さんが来て、しかも自分のインスタに載せてくれた!」とオーナーは大喜びでしたが、しかし結果はファンの来客が一瞬増えただけで、2度目の来店はありませんでした。それに加え、インスタ投稿直後の短期間に来店が集中したため、固定客の方が予約できなくなりリピーターが離れていき、利益は全然残らなかったのです。

TikTokもバズったのですが、再生回数が伸びただけで来客にはつながりませんでした。そもそも、視聴者の大半は物理的に通うことができない距離に住んでいたのです。

また、値下げで来店してくれた方は、質が悪くてスタッフが疲弊しただけでした。結論を申し上げると、このエステ店のケースでは、新規集客はうまくいかないほうがよかったのです。

計画していた①インスタ、②TikTok、③新規割引は、どれもオーナーの狙い通りになりました。しかし、利益にはつながらないどころか、赤字拡大の要因となり、にもかかわらず忙しさは増すという悪循環……。

「もう一体どうしていいか見当もつかない」

これが、このエステ店オーナーが抜けられなくなっていた「新規集客の沼」でした。

顧客離れ5%の改善で利益は最低25%改善される

では、この一見、繁盛しているように見えるも、たとえ成功したとしても利益を生み出すことのできない「新規集客の沼」から、どうすれば抜け出せるのでしょうか?

答えはシンプルです。

「既存顧客を大切にする」

1:5の法則と合わせて覚えておいてほしい法則が1つあります。それは「5:25の法則」。これは「顧客離れを5%改善すれば、利益が最低でも25%改善される」というもの。簡単に言うと、既存顧客を逃さないように努めれば、利益率は大幅に改善されるという統計をまとめた法則です。

しかし、エステ店オーナーは、非常に大切なこの2つの法則を無視し、新規集客に走り、沼にハマって抜け出せなくなり、赤字を拡大させていました。

その額たるや一昨年度は1500万円、昨年度は1800万円、コンサル開始直前には単月だけで200万円の赤字に膨らんでいました。