急いではいけない職場復帰

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従来のうつ病と新型うつとの違い

新型うつは入院して徹底的に治療したほうが効果は大きい。自宅療養では家族や近所の目がプレッシャーになりがちだからだ。私の不知火病院では、患者は平均72日で退院するが、再入院率は20年間で25~30%程度にとどまっている。

新型うつで少し体調が改善したからと職場復帰を急いで、再発してしまうケースが後を絶たない。企業も新型うつをよく理解し、社員が完治するまで待つべきだ。それが企業にとっても社員にとっても得策だ。

ミスをすぐ人のせいにする社員が新型うつとは即断できないが、行動の変化は手がかりになりうる。仕事の能率が落ちてきたのに加え、ミスが増えてきたりしたら可能性大。悪化すると、頻繁に交通事故を起こしたりする。服装に無頓着になったりするのもサインの一つ。上司は感情的にならず、冷静に部下を観察してほしい。また、不眠も付き物だ。それらの症状が見られる場合、専門医を受診させたほうがいいだろう。

新型うつを防ぐには、時間はかかっても、親身になって若手社員を育成していくしかない。ただし、必要なら、時に厳しく指導してもかまわない。今の若者の多くは愛情に飢えている。集団療法でも真剣に患者と向き合うことが、治療効果を上げるのに欠かせない。上司の叱責が“愛のムチ”であれば、真心は部下にきっと通じるはずだ。

不知火病院院長 
徳永雄一郎

1948年、福岡県生まれ。昭和大学医学部卒業。不知火病院は再入院率が低いことで知られる。著者に『ストレスとうつ』『働きすぎのあなたへ』など。
(構成=野澤正毅 撮影=藤原武史)
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