米国ではシェール革命で、天然ガスの存在感が一気に高まりつつある。そんな中、投資先として注目を集めているのがMLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)市場だ。
MLPとは、共同投資事業形態の一つ。REITに近い仕組みで、株式会社と同じく営利事業体ではあるが、原則としてMLPの段階では法人税はかからず、上場しているため透明性は高い。MLPの90%以上は米国のエネルギー関連事業、特にパイプラインや貯蔵タンクなどインフラそのものに投資しており、そこから発生する使用料から利益が発生する。
MLP市場は2000年代に徐々に市場規模を拡大していたが、シェールガス革命で期待が一気に高まった。時価総額ではすでに40兆円を超えており、米モーニングスター社は、この市場が年間5%で成長すると試算している。
日本でもMLPファンドは順調に資産規模を拡大している。イボットソン・アソシエイツ・ジャパンCIOの小松原宰明氏は「MLP関連の指数を見ると、価格変動性は株とほぼ同等で、インカムリターンは高めであり、足元の投資効率も高い。金利水準が低い中、投資家は投資先を探している状態なので、MLP市場は伸びるだろう」と話す。
いいことずくめのMLPファンドだが、注意点は何か。「市場規模がまだ小さいため、ハリケーン・カトリーナ規模の災害などインフラ施設への不測の事態に左右される。また、シェールガスをはじめとした天然資源の需給の変化や、技術進歩などに影響される」
(ライヴ・アート=図版作成)