「このままだとこの国は滅びる」
――53点、微妙な点数ですね。
うん。でも、AとかBではもちろんないけど、Cはもらえると思っています。Cの真ん中位かな。
――やはり未練があるのでしょうか。
未練というのとは違うと思うけど、総理経験者であっても言うべきことは言わなきゃいけないという思いはあります。40年の議員生活がこれで終わるのは不愉快だ。発言を続けるのは、多分このままだとこの国は滅びるのではないかと思うからです。
去年の「80年所感」で言ったように、戦前は天皇陛下お一人が主権者だったが、同時に無答責が定められていて、誰が何を決めているか、誰の責任なのかさっぱり分からないまま開戦し、継戦し、あれだけの犠牲を払うことになった。今だって、勇ましい声、大きな声に世論が流されて、メディアも迎合している。どこか似ていませんか、と。それを後から「ほら、私が言った通りだろう」と言っても、責任を果たしたことにはならないでしょう。
国会が終われば、議員たちは地元に帰り、そこで、皇室典範の改正や消費税問題について有権者の声を聞くことになる。その中には「自民党はおかしいんじゃないか」というお声もあるでしょう。私も地元の有権者の皆さんと語り合いながら、発言していくつもりです。どこまで影響力があるか分からないが、そこから反転攻勢をかける、その覚悟はあります。
【取材を終えて】「反転攻勢」の覚悟は語ったが…
100分を超えるインタビューの間、石破は何度も「保守とは右派ではなくリベラルだ」と繰り返した。なぜ戦争が起きたかという反省から教訓を得て、アメリカに従属するだけでなく是々非々で臨み、国会での議論を重視するという姿勢。それが、石破が考える保守なのだという。
その「保守」が自民党のなかで急速に溶け始めている。これを止めないと自民党だけでなく日本政治そのものが、砂の城のように崩れ去り、不幸な歴史を繰り返す――。そんな危機感を抱いているのかもしれない。
だが、自民党が変質してきたというなら、その原因の一端は、一年ほどとはいえ政治の最高責任者として総理・総裁の座にあった石破自身にも、その流れを止められなかった責任はあるだろう。
戦前日本で、誰が最終的に決定し、誰が責任を負うのか曖昧なまま戦争へ突き進んだ構造を「無責任の体系」として批判した政治学者の丸山眞男は、「政治家の責任は徹頭徹尾結果責任である」とも述べている。党内野党の立場で、高市批判をするだけで、果たして首相経験者としての責任を果たしたことになるのか。
石破は「時が来れば反転攻勢に出る覚悟はある」とも言った。この政治状況に対して、具体的にどんな発言をし、どう行動していくのか。保守政治家・石破茂の政治責任も問われることになるだろう。


