解説

この問題の正解は一つではない。どれも正解になりえる。誰の胸にも響く魔法の言葉はない。すべらない企画書、文章を書く人は、相手がどのような人なのかを考えて言葉を選んでいるものだ。

プレゼンをする人、資料をつくる人が故スティーブ・ジョブズ氏や孫正義氏であれば、どんな言葉を使っても多くの人が読みたいと思うだろう。それはプレゼンテーターの実力を知っているからだ。しかし多くの場合、相手は「読むのが面倒」と思っていると考えよう。

ここでは経営企画室の人がターゲットだが、まずは相手のタイプを見極めることから。もし相手が左脳的な思考(論理的思考)をする人なら、Aのようにスマートで直球のタイトルがいいだろう。一言で提案の内容を言い表していて、無駄がない。

相手がクリエーティブな仕事をしていて右脳的な思考(直感的思考)をする人が相手なら、Bのように感覚に訴えかけるものも効果的。

普段からビジネス書やビジネス誌を愛読していて勉強熱心な人なら、Cのタイトルに目を留めてくれそうだ。

タイトルだけでなくたとえ話をするときも、相手の年齢や業種によって使い分けるのがコツ。年配の男性にはプロ野球チーム、ベンチャーの若手にはAKB48というように。

博報堂ケトル代表・共同CEO 嶋 浩一郎
1968年生まれ。上智大学卒業後、博報堂入社。企業のPR・情報戦略に携わった後「広告」編集長を務め、2004年に「本屋大賞」を立ち上げる。06年博報堂ケトルを設立。著書は『企画力』『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』など。雑誌「ケトル」の編集長も務める。
(構成=飯島裕子 撮影=向井 渉、宇佐見利明)
【関連記事】
「A4・1枚、30秒、一言」で伝える
聴いて9割、話して1割。仕事のムダを省く法
「自分ごと」に置き換えながら聞かせるテクニック
あなたの話がつまらない4つの理由
女に嫌われる話し方、男に嫌われる話し方