自国の技術を見るため中国へ向かった州首相
2025年12月、米ニュース週刊誌のニューズウィークが新たな動きを報じた。ドイツ連邦鉄道庁(EBA)が、欧州初となる公共リニアの運行認可を同社の子会社であるTSBベトリーブス社に与えたのだ。商業運行に必要な認可要件は初めて満たされた。それでも路線建設に踏み切る自治体は現れず、ドイツ国内にTSBの商業路線は依然として1本もない。
バイエルン州のマルクス・ゼーダー州首相は、2023年11月にゼンゲンタールの本社を視察した。そして2024年3月には成都まで足を運んでいる。自国の技術を見るために中国へ出向くという、上海トランスラピッドの時と同じ構図が続いている。
ローリングストックによれば、2021年にはCRRC自身がドイツのエムスラント試験線で自社リニアの試験走行を検討していた。解体が進むあの軌道を、かつて技術移転を受けた中国メーカーが使いたがっていたのだ。
こうした挫折を経て、2026年3月、パトリック・シュナイダー連邦交通相がリニアの復活を宣言した。だが、今回の構想はかつてとは大きく異なる。
焦点は大都市間の高速輸送から、都市部の通勤混雑の解消へと移った。リニアを、地下鉄や路面電車に替わる交通手段として位置づける。それが新たな構想の柱だった。
最大90%補助でも残る「都市型リニア」への疑問
この構想は、2020年にアンドレアス・ショイヤー元交通相が委託した実現可能性調査に基づいている。
ハイゼ・オンラインによると、この調査で磁気浮上技術は、「従来型の軌道交通に対する、実用可能かつ競争力のある代替手段」と評価された。運輸省は自治体交通財政法(GVFG)を改正し、費用の最大90%をカバーする連邦補助をリニアにも適用する方針を打ち出した。年間予算は約20億ユーロ(約3600億円)にのぼる。
こうした政策で再び息を吹き込まれたかに見えるリニアだが、懐疑的な見方は根強い。都市内リニアという発想はシュナイダー氏の宣言よりずっと前から議論されており、批判もまた、早くから絶えなかった。
独B2B産業専門メディアのエクスパート・デジタルが伝える交通計画の専門家らの指摘は手厳しい。リニアが最も議論される人口密集地帯でこそ、優位性が最も乏しいのだと。駅間距離が短く、最高速度を出す余地がほとんどないためだ。
専門ポータルサイト「マグネット・バーン」の運営者らも、ハンブルク―ミュンヘン間を専用インフラで2時間で結ぶような長距離輸送なら、リニアの利点は否定しがたく経済的にも筋が通るとする。だが、シュナイダー氏が推進する都市内の短距離路線は、リニアの強みが最も発揮されない用途だと批判する。

