酔って暴れ「切腹する」

ところが、母は進駐軍の将校の家でベビーシッターをして1晩1ドルも稼いでくる。日本円にして360円。当時からすれば大金ですよ。男が10時間肉体労働をやって「ニコヨン」、つまり240円をやっと稼ぐ時代です。

母のアメリカびいきは相当なものでした。母にとって戦時中の日本軍の思い出は、それはもう不快なものばかりだったようです。「軍部は威張ってばかり。それに比べてアメリカの将校さんはマナーがよくて。負けるはずたい。負けてよかったったい」て。

次男坊の私もアメリカ大好きでね。戦争ドラマ『コンバット!』ばかり見て、(主人公の)サンダース軍曹に夢中だった。ヨーロッパ戦線の戦いぶりとか、もうワクワクして見ていました。それを見たおやじはイライラした声で「こげんうまくゆくか、バカちんが!」とか「鉄砲の音が1発でも鳴ったら、人間動かなくなるったい」とか吐き捨てていました。