慢性的な炎症体質が改善に向かう効果も

私たちの体は、運動強度が上がると、瞬間的に大量のエネルギーが必要になります。このとき、ATP(エネルギー通貨)が急いで使われます。

短い高強度の運動は、「エネルギーが足りない。もっとエネルギーが必要です」という刺激を与えます。すると、ミトコンドリアを増やしてATPの数を増加させ(生合成)、その質が高まり(機能改善)、結果、細胞全体の代謝能力が底上げされていくのです。

一方で、長時間高強度の運動を続けるとどうなるでしょうか。

ミトコンドリアは疲弊し、活性酸素が過剰に発生します。その結果、酸化ストレスの悪影響のほうが大きくなり、健康にとって逆効果となる可能性があるのです。

だからこそ、インターバル運動の仕組みが役に立ちます。

短い刺激と休息を繰り返すことで、体は壊れる直前で「修復に入る余地」を保つことができるのです。

インターバル運動の利点は、とにかく「適度な酸化ストレス」を発生させること。これにより抗酸化酵素(活性酸素を無毒化し、細胞を酸化ストレスから守るタンパク質)の生成や解毒システムが強化され、体が鍛えられていきます。この作用は、免疫の閾値を整え、慢性的な炎症体質を改善に向かわせることも期待できるのです。

ウォーキングをベースとした簡単な方法

また、インターバル運動は、糖代謝の改善にも寄与します。

短い高強度の負荷は、筋肉内のグリコーゲンを消費し、細胞内への糖の取り込み効率を上げ、インスリン感受性、すなわち体がインスリンにどれだけ効率よく反応するかを示す指標を向上させます。これは、糖尿病やメタボリックシンドロームの予防にも好影響をもたらします。

また、血糖値の乱高下が収まり、異物として体内で悪さをする終末糖化産物(AGEs)の蓄積が抑えられ、細胞レベルの劣化を遅らせる効果も期待できます。

さらにインターバル運動はケトン体代謝を呼び起こすスイッチにもなります。ケトン体とは、糖分が不足している際に代わりとなってエネルギー源の働きをする物質のことです。

やや強めの運動で筋グリコーゲンが使われると、体は燃料の選択を迫られ、脂肪酸やケトン体の利用率が上がっていきます。その結果、燃料の柔軟性(メタボリック・フレキシビリティ)が回復し、ブドウ糖に依存した代謝から、脂肪とケトン体も使える代謝に移行することで、疲れにくく、回復しやすい体質が育つわけです。

具体的なやり方は、決して難しいものではありません。

たとえば、ウォーキングをベースとした方法は次のとおりです。普段運動をあまりやっていないという人は、まずはこれを参考に始めてみてください。

【方法】

①普段の歩行ペースを基準に「少し息が上がるペース」で30秒歩く
②その後、呼吸を整えるように60秒歩く
③これを10セット、約15分で繰り返す

通りを歩くスーツの男性
写真=iStock.com/Jacob Wackerhausen
※写真はイメージです

たったこれだけです。

普段歩くペースを基準にするため、誰でもこのフォーマットを応用できます。