「本当にお金が足りないのか」を見極める
リースバックという劇薬を使うときには、十分な検証と正しい使い方、使用後のケアまで考えることが重要です。慎重に検証してみたら、とるべき対策はリースバックではない、という可能性は十分に考えられます。
そこで、まず確認したいのは、親は本当にお金が足りていないのか、です。
もし年金やその他の収入で、毎年の支出を賄えているのであれば、自宅の売却を焦る必要はありません。むしろ、売却したことがかえって裏目に出る可能性があります。
また、医療や介護のお金が不安だという方も多いでしょう。しかし、医療費には所得や年齢に応じた自己負担上限を設ける高額療養費制度があり、介護にも利用者負担が高額になった場合の負担軽減制度があります。まずは親がどのカテゴリにあてはまりそうなのか、確認してください。持ち家に住み続ける前提で、必要なお金を見積もってみることが大切です。
「何に、いくら足りないと思っているのか」「引っ越すつもりがあるのか」「家賃は払い続けられるのか」「売却代金をどのように使うのか」を、親と一緒に整理してみましょう。提示されている売却価格が妥当な金額となっているか、他の複数の宅建業者に意見を聞くことも大切です。
一方、すでに契約してしまっている場合は、早急に以下を確認してください。
□ 売買契約がどこまで進んでいるか
□ 解約条件と違約金
□ 家賃の値上げ条件
□ 普通借家か定期借家か
□ 契約期間と再契約の条件
□ 修繕や原状回復費の負担
□ 契約者が亡くなったあと配偶者が住み続けられるか
まずは「年金だけで暮らせているのか」を探る
とはいえ、親にいきなり「年金はいくら」「貯金はいくらあるの」などと聞くのは難しいものです。親も、どう話せばいいのかわからない。あるいは、話してくれないかもしれません。切羽詰まった状態になっていない限り、お金の困りごとを聞かれてすぐに具体的に話せる方は案外少ないものです。
お金の使い方にはその人の価値観が表れます。価値観の違う相手、文脈を読んでくれない相手には話さないものです。日頃、夫婦間のお金の話し合いに立ち会うことも多いですが、夫婦も親子も同じで、お金の話は簡単には進みません。
だからこそ最初は、お金ではなく普段の様子から、親の視点をうかがうことがおすすめです。郵便物がテーブルの上に積み重なったままになっているとか、お風呂やトイレの汚れ方が酷くなったとか、なんとなく空気が悪いとか、違和感を覚えることがあれば、普段の暮らしのことを尋ねてみましょう。何か困っていることはないか。植木や電球の交換などなんでもいいのです。小さな困りごとから、お金の困りごとを話してくれることがあります。

