●魂をエンカレッジしないと、人間はどんどん利己的に動いていってしまう。
――『プレジデント』1998年1月号
稲盛は「肉体ではない、いわゆる魂というものも人間は持っている」と説く。
遺伝子はエゴイスティック、つまり利己的に働くとされている。生物としての人間は生来利己的なものなのだ。稲盛は、魂をエンカレッジする(励ます)ことで、利他的つまり他者を利するような人間にならなければいけないと考えている。
そして、稲盛はこの世に生きる意味を「魂を磨き、少しでもましな人間になるため」と語る。稲盛にとっては、ビジネスも魂を磨く修業のひとつなのだ。
●悩んで悩んで、苦しんで苦しんでいくときに、「ひらめき」言い換えれば「天の啓示」がある。
――『プレジデント』1996年8月号
稲盛がテレビの電子銃に使う絶縁部品の開発に四苦八苦していたとき、実験室を歩いていて靴にパラフィンワックスがベッタリと付き、転びそうになった。その瞬間、セラミック原料にパラフィンワックスを混ぜることを思い付く。そして、絶縁部品の開発に成功する。
「苦しんでいる者を見て、あまりにも純粋に苦しんでおるので、ちょっと教えてあげようという具合に、ぽっと教えてくれるもの」を、稲盛は「天の啓示」と称している。
(AFLO=写真)