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大腸がん[外科(腹腔鏡含む)]

「1人のがん患者さんに対し、外科医だから手術にベストを尽くすのは当然です。さらに、様々な要素を総合的に考えて、最適な集学的治療方針を組み立ててベストを尽くすことが重要です」

そのため、北川教授は患者1人ひとりに合った治療という点から、手術だけにこだわりはしない。

たとえば食道がんの治療では――。

「かなり早い時期から化学放射線療法を取り入れてきました。以前から日本の食道がん治療は手術中心で行われてきました。しかし、体力的に手術に耐えられない方、手術を希望されない方もいます。それを受けて早くから集学的治療に取り組んできたのです」

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大腸がん[内視鏡]

患者の声が医療に大きく反映されている。臨床医の原点である“患者の声にしっかり耳を傾ける”――それが実践されている。

食道グループが胸腔鏡手術を始めたのは96年。食道がんの大手術が、患者の体に負担の軽いものとなった。また、化学放射線療法では、病期(ステージ)Iに対して、手術との比較試験が北川教授のもと、多施設共同で行われている。

「化学放射線療法だけで治る方を見極める。治らない人にはしっかりとした安全な手術をするという時代の足音が聞こえています。また、進行食道がんでは、強力な術前治療を行ってから手術をすることで治療成績がより一層向上すると期待されます」“体にやさしい手術”“集学的治療”などに、誰よりも積極的に取り組んできたからこそ、明日の食道がん治療が見えてくるのだろう。

慶應義塾大学病院 北川雄光
1960年生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。87年、日野市立総合病院出向、88年、済生会神奈川県病院出向、救命救急センターに勤務した。89年、慶大医学部助手。93年から96年、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学留学。96年川崎市立川崎病院外科副医長、97年慶大医学部外科学助手、2005年同専任講師、07年より一般・消化器外科教授。
(的野弘路=撮影)
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