死者も生者も同時期に「帰省」

そもそも、人が帰省するためには、それぞれの人間が自分の「故郷」を持っていなければならない。故郷を持つためには、実家から都会に出てきた経験がなければならない。

もちろん、昔からそういう経験をした人たちはいる。しかし、昔は、一度実家を出てしまえば、よほどのことがないかぎり戻ることはなかった。

ところが、1950年代半ばから日本が高度経済成長の時代に突入すると、多くの労働力が地方の農村部から都市部へと出ていく。最初は、小学校や中学校しか出ていない「金の卵」が中心だったが、大学へ進学するために都市部へ出てくる人間も増え、彼らは大企業や官庁に就職した。それによって、「サラリーマン社会」が到来した。