先に同僚を蒸留しよう

だが、Colleague Skillが打ち出した「人間を蒸留する」というコンセプトは、単に不気味なだけでなく、実際に労働者たちの不安をかき立てている。中国版インスタグラムと呼ばれる「小紅書(RED)」では「#AI不安」というハッシュタグの閲覧数が数百万回規模に達している。あるユーザーは「先に同僚を蒸留しておけば、自分はもう少し長く生き残れるかもしれない」と皮肉交じりに投稿した。

人間を「スキルの集合体」として捉え、個人を置き換え可能にするツールは、すでにさまざまな分野で実験が進んでいる。中国では今年初めにオープンソース型のAIエージェント「オープンクロー」の利用が急速に拡大したが、企業での実用性はまだ限定的だ。そこでColleague Skillのようなツールを使い、従業員に日々の業務を細部まで記録させ、特定のタスクやプロセスを自動化する動きが活発化した。

米エモリー大学でAIと労働を研究するハンチェン・ツァオ助教授は、企業がこのようなツールを用いて、従業員の知識や業務フロー、意思決定のパターンに関する豊富なデータを得られると述べている。その結果、「どの業務が標準化・システム化できるのか、どの部分に人間の判断が依然として必要なのかを把握できる」と同氏は指摘した。