人間同士だと難しい「翻訳」
オードリー・タンさんは、こう語っています。
「AIは、人間を支配する存在ではありません。むしろ、人と人との間に入って、お互いが理解できていないことを翻訳してくれる存在になれるのです」
対立しているふたつのグループからは、お互いが「敵」に見えてしまいます。「あいつらは間違っている」「話してもムダだ」と憎み合う傾向にあります。
でも、実はどちらの側にも、それぞれの不安や心配があります。その不安や心配を、AIが「翻訳」してくれます。
「反対派の人たちは、Uberが嫌いなわけじゃないんです。知らない人の車に乗るのが不安なだけなんです」とAIは教えてくれます。
そのように「翻訳」されると、「なるほど、それならわかる」と思えるかもしれません。
人間同士だと、こういう「翻訳」は難しくなります。
感情が入ってしまうからです。でも、AIなら、感情に左右されずに、両方の意見を公平に分析できるのです。
AIは分断を超えるためにも使える
もちろん、Pol.isにも限界があります。
まず、すべての問題に使えるわけではありません。妥協点がそもそも存在しないような問題――たとえば、どちらかが完全に勝つか負けるかしかないような問題には、向いていません。
また、参加者が偏っていると、結果も偏ります。
インターネットにアクセスできない人、そもそも政治に関心がない人の声は、拾いにくいのが現実です。
「全員が賛成できる意見」を重視するあまり、少数派の声が埋もれてしまう危険性もあります。「みんなが賛成していることが正しいとは限らない」という民主主義の古くからの課題は、Pol.isでも解決されていません。
それでも、少なくともAI時代のひとつの可能性を示しています。
AIは、分断を深めるために使うこともできますし、分断を超えるために使うこともできます。私たちが上手に使えるものです。
AIがもたらす未来だけを「自分にはどうしようもないこと」とすることは避けられるのです。どちらの道を選ぶかは、私たち次第です。


